TL;DR
- ロングライドでは、ACTIVIKE グランフォンドウォーターを「ボトルで持つ糖質の土台」として使う。
- ELITE FLY TEX 950ml のような大きめのボトルなら、950mlボトルに80g、つまり2回分を入れる運用がしやすい。
- パウダーは旭化成 ジップロック フリーザーバッグ Sに80gずつ小分けすると、現地で950mlボトル1本ぶんを作りやすい。
- 20時間ブルベなら糖質800〜1,200gを目安にしたい。800gが最低防衛線、1,000gならかなり良く、1,200gなら安牌寄り。
- グランフォンドウォーター80g×4本で糖質約296g。残りはおにぎり換算で約13〜23個ぶんを、実際にはおにぎり、羊羹、煎餅、食事に分散する。
- 一番怖いのはエネルギー切れ。ブドウ糖とパラチノースで糖質の入り方を分け、ボトルから切らさず入れ続ける。
- 味は薄めのスポドリ風味。ポカリより薄く、アクエリアスとそこまで差がないくらいで、甘ったるくはない。
長い距離を走る日は、補給を「食べるもの」だけに寄せすぎると、後半に胃や気分が追いつかなくなることがある。コンビニで都度買える前提にしつつ、ボトル側にも安定して飲めるカロリーを持たせておきたい。
今回試したい商品は、ACTIVIKE グランフォンドウォーター。商品ページでは「50kmを超えるライド」向けの飲む補給食として紹介されている。
入れる理由
- エネルギーが切れるのが怖い
- ボトルから少しずつ糖質を入れ続けられる
- ブドウ糖とパラチノースで糖質の種類が分かれている
- コンビニ停止の間隔が空いたときの保険になる
ロングライドでいちばん怖いのは、脚が終わることそのものより、気づいたときにはエネルギーが切れていて立て直しに時間がかかること。食べられるうちは固形物でいいが、後半に食欲や判断力が落ちたときでも、ボトルから糖質が入ってくる状態を作っておきたい。
カロリー構成は比率までは分からないが、ブドウ糖とパラチノースで糖質の種類が分かれている。素早く使いやすい糖と、ゆっくり吸収される糖を組み合わせることで、単発でドンと入れるより、なだらかなカーブで入り続ける補給として見やすい。
ナトリウム、マグネシウム、カルシウムも入っているが、ここは主目的ではない。自分としては「ミネラルも取れるから選ぶ」というより、「エネルギー切れを避けるために、飲める糖質をボトルへ固定する」ことが一番大きい。
Z2ブルベでの消費カロリーと糖質需要
ブルベは大体Z2くらいで淡々と走る前提で見る。自分のFTPベースだと、平均出力ごとの消費はだいたい以下。
| 想定 | 平均出力 | 消費 | 総消費 |
|---|---|---|---|
| 200km/13.5h | 120W | 432kcal/h | 約5,832kcal |
| 200km/13.5h | 130W | 468kcal/h | 約6,318kcal |
| 200km/13.5h | 140W | 504kcal/h | 約6,804kcal |
| 300km/20h | 120W | 432kcal/h | 約8,640kcal |
| 300km/20h | 130W | 468kcal/h | 約9,360kcal |
| 300km/20h | 140W | 504kcal/h | 約10,080kcal |
ここから、どれくらいを糖質で燃やしているかを考える。個人差が大きく、本当は呼気ガス測定が必要なので決め打ちになるが、運動強度が上がるほど燃料は脂肪から糖質へ寄っていく、というcrossover conceptがある。
| 状態 | 糖質 | 脂肪 | イメージ |
|---|---|---|---|
| かなり楽なZ2下限、涼しい、淡々 | 30〜40% | 60〜70% | 脂肪優位 |
| 普通のZ2、補給しながら走る | 40〜50% | 50〜60% | 半々寄り |
| 坂・信号復帰・暑さ・向かい風あり | 50〜60% | 40〜50% | 糖質寄り |
130Wで468kcal/hくらい燃えている前提だと、カロリー比率ごとの糖質と脂肪はだいたい以下。
| 糖質比率 | 糖質 | 脂肪 |
|---|---|---|
| 30% | 約35g/h | 約36g/h |
| 40% | 約47g/h | 約31g/h |
| 50% | 約59g/h | 約26g/h |
そう考えると、Z2でも糖質は50g/h前後なら普通に燃えている。950mlに80g入れたボトルを1時間半から2時間くらいで飲むと、30〜50g/hの下支えになり、固形物やコンビニ補給と合わせやすい。
総合消費とカロリー比率からの算出
20時間Z2ブルベで「最低限このくらい糖質は入れたい」を置くなら、目安は以下。
| 摂取ペース | 20時間の糖質 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 30g/h | 600g | 絶対下限 |
| 40g/h | 800g | 実用最低 |
| 50g/h | 1,000g | ちゃんと走る目標 |
| 60g/h | 1,200g | 安牌目標 |
| 70g/h | 1,400g | 攻め補給 |
30g/hの600gは「何も入れないよりはかなりマシ」くらいで、20時間ブルベの安牌としては薄い。スポーツ栄養の指針でも、持久運動中は時間に応じて30〜60g/h、長時間では複数糖質を使って90g/h付近まで増やす整理がある(Nutrition and Athletic Performance)。
消費側から見ても、130W前後のZ2で468kcal/h、糖質比率30〜50%と置くと、糖質だけで約35〜59g/h燃える。20時間では700〜1,200gくらいの糖質を燃やす計算になる。
もちろん体内にもグリコーゲンはある。一般的には筋肉に約500g、肝臓に約100gという整理があるが、筋グリコーゲンはその筋肉ローカルで使われ、肝グリコーゲンは血糖維持に重要なので、全部を「使い切ってOKな予備燃料」とは見ないほうがいい(Glycogen)。
だから実戦では、体内在庫を削り切らないために、外から800〜1,200gくらい入れると考えるのが自然。
おにぎり1個を糖質40gとして見ると、食べ物側で必要な量はこうなる。
| 目標糖質 | グランフォンドウォーター80g×4本分 | 食べ物で必要 | おにぎり換算 |
|---|---|---|---|
| 800g | 約296g | 残り約504g | 約13個 |
| 1,000g | 約296g | 残り約704g | 約18個 |
| 1,200g | 約296g | 残り約904g | 約23個 |
グランフォンドウォーターを80g×4本分使うと、糖質はだいたい296g。20時間全体のうち糖質300g弱を自動で積む床暖房として見て、残りをおにぎり約13〜23個分で埋めるイメージになる。
実際には全部をおにぎりだけで食べる必要はない。おにぎり換算を基準にして、羊羹、煎餅、牛丼、そば、味噌汁付きごはんに分散する。
食事回数として見るなら、出発前を朝ごはんとして扱う。20時間ブルベ中は、深夜のギリギリいっぱいまで走るとして、3食、余裕を見るなら4食ぶんを走りながら入れる感覚になる。
もちろん一度に食べるのではなく、分割摂取する。大きな食事を3〜4回置きつつ、その間をボトル、羊羹、小さいおにぎり、煎餅でつなぐ。
20時間なら糖質800gが最低防衛線。1,000g取れたらかなり良い。1,200g取れたら安牌寄り。
量の目安
商品ページの栄養成分表示では、1食40gあたり148kcal。内容量は500mlのボトル25本分とされている。
栄養表示をそのまま見ると、40gあたり炭水化物37g、食塩相当量0.6g、カルシウム10mg、マグネシウム6mg、カルニチン204mg。80g運用なら単純に2倍で見る。
| 粉量 | エネルギー | 炭水化物 | 食塩相当量 | カルシウム | マグネシウム | カルニチン |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 40g | 148kcal | 37g | 0.6g | 10mg | 6mg | 204mg |
| 80g | 296kcal | 74g | 1.2g | 20mg | 12mg | 408mg |
ELITE FLY TEX 950ml のような大きめのボトルを使うなら、1食40gを2回分投入して80gにする考え方が取りやすい。商品ページの栄養成分をもとにすると、80gで炭水化物は約74g、カロリーは296kcalになる。
スポーツ栄養の目安としては、長時間運動では30〜60g/h、さらに長い運動では90g/h程度までがよく使われるレンジになる。単一糖質だと外から入れた糖を燃やせる上限が60g/h前後、複数種類の糖を使うと90g/h前後まで上げられる、という整理がある(A Step Towards Personalized Sports Nutrition)。
950mlに80gを溶かした場合、1時間あたりに飲む量と摂取量はだいたい以下。
| 飲む量 | 粉量 | 炭水化物 | カロリー | 目安 |
|---|---|---|---|---|
| 250ml/h | 21g | 19g/h | 78kcal/h | 補助的。固形物と併用 |
| 385ml/h | 32g | 30g/h | 120kcal/h | 30g/hの下限 |
| 500ml/h | 42g | 39g/h | 156kcal/h | 30〜60g/hの範囲 |
| 770ml/h | 65g | 60g/h | 240kcal/h | 単一糖質目安の上限付近 |
| 950ml/h | 80g | 74g/h | 296kcal/h | 1時間で1本。60g/h超え |
| 約1,155ml/h | 97g | 90g/h | 360kcal/h | 90g/h狙い。追加補給前提 |
ロングライドでは、毎回濃く作る必要はなさそう。暑さ、胃の重さ、コンビニ停止の頻度で濃度を調整する。まずは「飲み切れる味」と「胃に残らない濃さ」を優先する。
ロングライドでの使い方
スタート直後から濃い補給を入れすぎるより、序盤は水分と胃の様子を見ながら薄めに使う。距離が伸びて食べる頻度が落ちる前に、ボトルのカロリーを切らさないことを優先する。
想定は以下。
- スタート前に1本目を作る
- 前半は通常の水分補給として少しずつ飲む
- 長い登りや補給地点が少ない区間の前にボトル残量を確認する
- コンビニ停止では固形物を足し、ボトルは継続補給として扱う
食べる補給は別で持つ。グランフォンドウォーターだけで完結させるのではなく、空腹感が出る前の下支えとして使う。
パウダー状態の運搬方法
現地で粉を扱うなら、旭化成 ジップロック フリーザーバッグ S 50枚 に1袋に80gずつ入れておくのが扱いやすそう。
80gは、ELITE FLY TEX 950ml のような大きめボトルで作る950mlボトル1本ぶん。出発前に何袋使うかを決めておけば、コンビニやPCで「粉を量る」作業をなくせる。
20時間で80g×4本を使う想定なら、ジップロックを4袋持つ。中身はグランフォンドウォーターなので、4袋で粉量320g、炭水化物は約296gになる。
袋には「80g」「1本分」などを書いておく。濡れた手で扱う可能性があるので、口をしっかり閉じ、念のためまとめて別の袋に入れておくと安心。
味
味はスポドリ風味。ポカリより薄く、アクエリアスとそこまで差がないくらいに感じる。
甘ったるくはないので、長時間でも口に残りにくい。濃く作る場合でも、水だけのボトルやコンビニの飲み物を別に用意しておくと調整しやすい。
コスパについて
コスパは、購入時点の価格と送料で変わる。ここでは商品ページで確認した税込3,280円、送料別の価格を前提にする。
内容量は1食40g×25本分。1食40gあたり148kcal、炭水化物37gなので、計算すると以下になる。
| 使い方 | 粉量 | 炭水化物 | カロリー | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 500mlボトル1本 | 40g | 37g | 148kcal | 約131円 |
| 950mlボトル1本 | 80g | 74g | 296kcal | 約262円 |
| 20時間で80g×4本 | 320g | 296g | 1,184kcal | 約1,050円 |
500mlボトル1本あたり約131円。950mlに80gなら1本あたり約262円。20時間で80g×4本なら約1,050円になる。
糖質1gあたり約3.5円、100kcalあたり約89円くらい。純粋に最安のカロリー源というより、「飲める状態で、糖質と水分を同時に積める」ことに価値があるタイプの補給だと思う。
コンビニで食べ物を買う補給は引き続き必要。ただ、20時間で糖質300g弱を約1,050円ぶんボトル側に固定できるなら、後半に食べる気力が落ちたときの保険としてはかなり見やすい。
補助成分について
この商品の主役はあくまで糖質。ロングライドで一番大きい意味があるのは、ボトルから継続して炭水化物を入れられることだと思う。
そのうえで、補助成分として見るなら以下のように整理できる。
| 成分 | 見方 |
|---|---|
| パラチノース | パラチノースはゆっくり吸収される糖質。ブドウ糖のように素早く使う糖質だけでなく、長い時間でじわっと使う糖質を混ぜる意図として見られる |
| カルニチン | カルニチンは脂質代謝に関わる成分。ただし、これを飲めば脂肪燃焼が大きく変わるというより、Z2で脂肪も使いながら走る設計の補助として見る |
| ナトリウム | ナトリウムは汗で失いやすい電解質。水だけを飲み続けるより、長時間での水分補給と合わせやすい |
| マグネシウム・カルシウム | マグネシウムとカルシウムは筋収縮や神経系に関わるミネラル。汗で失う分を少しずつ戻す考え方には合う |
つまり、パラチノースとブドウ糖で糖質の入り方に幅を持たせ、ナトリウムなどのミネラルで水分補給の土台を作る、という読み方になる。
一方で、カルニチンやミネラルが入っているから脚つりを確実に防ぐものではない。脚つりは強度、疲労、暑さ、脱水、フォーム、筋持久力なども絡むので、過信はしない。あくまで「糖質補給に、長時間で不足しやすいものも少し乗っている」くらいで見るのがちょうどよさそう。
電解質とカルニチンのサポート量
80gを950mlに溶かすと、ナトリウムは約472mg。食塩相当量1.2gをナトリウムに換算した値で、950ml中なので約0.5g/Lになる。
これはACSMの運動中飲料の目安である0.5〜0.7g/Lの下限付近(Exercise and Fluid Replacement)。つまり、ナトリウムについては「水だけで飲むより、汗で失う分の一部を戻す」くらいの意味は見やすい。
一方で、カルシウムとマグネシウムは量としてはかなり控えめ。80gでカルシウム20mg、マグネシウム12mgになる。NIH ODSのカルシウム資料では成人の推奨量は1,000〜1,200mg/日、マグネシウム資料では成人の推奨量は310〜420mg/日なので、カルシウム20mgは成人の推奨量1,000〜1,200mg/日に対してかなり少ない。マグネシウム12mgも成人の推奨量310〜420mg/日に対して数%にとどまる。
マグネシウムを明確に足したいなら、Mag-on マグネシウムチャージサプリメントを別で入れるのもあり。製品はMag-on マグネシウムチャージサプリメント。栄養成分表示では1包あたりマグネシウム200mg、エネルギー11.99kcal、炭水化物2.57g、食塩相当量0.25g。グランフォンドウォーター80gのマグネシウム12mgとは別枠で、「Mgを狙って入れる」ならこちらのほうが量としては見やすい。
カルニチンは80gで408mg。NIH ODSのカルニチン資料では、脂肪酸をミトコンドリアへ運ぶ役割が説明されている一方、運動パフォーマンスへの効果は研究結果が混在している。また、研究で使われる量は1〜4g/日のようなレンジが多いので、カルニチン408mgは、研究でよく見る1〜4g/日より少なめ。
まとめると、ナトリウムはロングライド中の水分補給としてそれなりに意味を持たせやすい。カルシウム、マグネシウム、カルニチンは「これで大きく変わる」というより、糖質補給に少し乗っている補助成分として見るくらいがちょうどよさそう。
注意点
- アタックや短時間高強度のための補給とは分けて考える
- ボトルだけに頼らず、固形物と塩分の取り方を残しておく
- 粉を入れたボトルは早めに飲み切る
- 現地で粉を扱うなら、事前に80gずつ小分けしておく
結論
ACTIVIKE グランフォンドウォーターは、ロングライドでボトルに持たせる低リスクな補給の土台として使う。
コンビニ補給を主役にしながら、ボトル側でカロリーを切らさない。食べる気力が落ちたときに、飲める補給が残っている状態を作るのが目的。
BRM620東京300伊豆修善寺のように、後半まで登り返しやコンビニ間隔を考える必要があるブルベでも、この考え方をそのまま使える。